いかぽのしまのしま

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たんぽぽじいさん

中学1年の時から3年間、一人のおじいさんと文通していました。


おじいさんの名前は中村胖(ゆたか)さん。


或る詩の雑誌の読書欄に
おじいさんがご自分の詩を投稿していたのです。


その詩があまりにも素敵だったので
感激した私は早速お手紙を書きました。
当時の雑誌は投稿者の名前も住所もそのまま載っていたのです。


私は
いかにおじいさんの詩が素晴らしいか
私の心に響いたかを
便箋にびっしりと綴りました。
自己紹介と自分の詩も付け加えました。


すぐにおじいさんの返事が届きました。


中村胖と印刷してある原稿用紙に
美しい毛筆の字でたくさんの喜びの言葉が書かれてありました。
茶目っけたっぷりの楽しい手紙でした。


「詩人なのですか?」という私の問いには
「詩は下手の横好き、本業は冶金です」と、
また
「あなたの手紙は面白くて、ボクはさんべん読みました。さんべん読ませる由香ちゃんバンザイ!」と書いてありました。


それから二人の長~い文通が始まりました。


私は
友人の事
片思いの先輩のこと
見かけた風景
季節の草花のことなどを
とりとめなく綴りました。
便箋に7~8枚になることもしばしばありました。


おじいさんも負けじと
たくさんの詩と、たくさんの言葉を届けてくれました。


その後
おじいさんは雑誌の名物じいさんとなり
読書欄には「たんぽぽじいさんの詩のコーナー」というものができました。
ファンレターもたくさん掲載されていました。



おじさんは忙しくなり
私も少しずつ大人になり
お互いの手紙の回数が減ってきた或る日
おじいさんは突然亡くなってしまいました。



心筋梗塞だったそうです。



ご家族からの「長い間お世話になりました」という手紙と
自分の死を予感していたのか
「天国からの手紙」という、おじいさんの字で書かれた一枚の印刷された紙が届きました。
庭で育てていた「風船かずら」の可愛い実も同封されていました。




私の言葉を
私の感受性を
丸ごと受け止めて
丸ごと面白がってくれた
大事な大事な友人は突然消えてしまったのでした。



おじいさんのことをすっかり思い出さなくなった数年後
御家族から一冊の本が届きました。


おじいさんの遺稿集でした。


昭和22年に出した処女詩集に加えて
たんぽぽじいさん時代の新たな詩が収めてありました。



序文には
堀口大學氏の言葉が載っていました。



おじいさんは
堀口大學氏のお弟子さんだったのです。



私は
おじいさんの詩をほめたり、詩作を励ましていた自分が、
恥ずかしくて恥ずかしくて
遺稿集を読めませんでした。


向き合うことができなくて
箱の中にしまい込んで、そうっと封印してしまいました。



本当に照れ屋なたんぽぽじいさん!!



今思えば
下手な横好きくらいでは
あれほど詩を愛せないよねぇ。
美しい言葉を綴れないよねぇ。




ようやく気づいた私です。




懐かしさと
たくさんの感謝をこめて
これから少しずつ
たんぽぽじいさんの詩を紹介していきたいと思います。






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コメント


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シエラぽん


そうかぁ~。
メイドの土産かぁ~。


たんぽぽじいさんのことは「いつか表に書きたい」と長年思っていたので、やっと出せました。
本を読んだら4月5日が命日だったの。


しばらくはおじいさんの詩を載せます。


>人との距離を敏感に推し量って生きていたであろう、若い由香ちゃんにとって、おじいさんは自分全開で向き合っても拒否されない、大事な友達だったんだろうね。


ほんとに、ほんとに!


こうやって時々「生きてる喜び」を味わって前に進んでいたんだよね。

たくさんの人に支えられて生きていたなぁとあらためて思う。
今も!!


ありがとう。

いかぽ | URL | 2009-04-01(Wed)17:34 [編集]


たんぽぽじいさんにとって、由香ちゃんとの交流は、とっても素敵な冥土の土産(言い方は変だけど)だったと思うよ

人との距離を敏感に推し量って生きていたであろう、若い由香ちゃんにとって、おじいさんは自分全開で向き合っても拒否されない、大事な友達だったんだろうね。

↑の詩、すごくあったかい。

言葉ってすごいね

シエラ | URL | 2009-04-01(Wed)13:20 [編集]


ばおちん

>このときも、すごいじーさんだと知ってたら手紙出せなかったもんね。

うん、そうだよね。

きっとおじいさんも
詩人だった中村さんじゃなくて、「心から詩を愛する一人の若者」として雑誌に参加してたんだろうな~。
だから私も含めたくさんの若い人に慕われたのだと思います。

今ね、たんぽぽじいさんの手紙も発掘してるとこです。

亡くなる直前は具合が悪かったのか
返事の代わりに自分が作ったはさみを送ってきたんだよ。
すごくよく切れるはさみでした(笑)



だーままとの話、とても素敵です。



あとで感想書きにいくね^^

いかぽ | URL | 2009-04-01(Wed)10:42 [編集]


本当にスゴイ人はこうなんだ!!!っていう見本のような人だ!!!(涙)。

たんぽぽじいさんが、かわいい由香ちゃんの日常や、感動や、励ましを
本当に楽しんで文通してたのがわかるもの!!!。

かぁちゃんの人生は、ありえないくらい大変なことが いっぱいなんだけど、
ありえないくらいスゴイ KEY・MANが登場する。。。

それもちゃんと摑みとってる~~~。
このときも、すごいじーさんだと知ってたら手紙出せなかったもんね。


由香ちゃん バンザイ!!!。




ばおばぶ  | URL | 2009-04-01(Wed)00:43 [編集]


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